はじめに

PMOの極意。一番大事なことってなんでしょうか?
私はひとえに「人との関係性の維持」だと思っています。

それはPMOに特化したことではありませんが、PMOには特に重要な要素だと考えています。
なぜならば、PMOの仕事は『チェックすること』がゴールなのではなく、『プロジェクトを成功に導くこと』がゴールだからです。
そのためには依頼したことを対応してもらわねばならず、現場の方々との良好な関係が不可欠です。
現場の方々もPMOが憎いわけでも、プロジェクトを失敗させたいわけでもありません。彼らの中では本業(開発や研究、サービス)が最優先であり、プロジェクト管理の優先度が低いだけなのです。
なぜPLはプロジェクトの全容をオンタイムで確認しなければいけないのか、それをすることが結局は効率も良く成功への近道である、ということを理解していただくことがPMOの使命だと考えています。
現場の方々は敵ではありません。もちろんPMOも彼らの敵ではありません。PMOを伴走者と認識し、失敗したら残念がり、難しいプロジェクトがうまくいったら、成功したら一緒に喜びを分かち合う仲間ととらえていただけるようになるとやりがいを感じていただけると思います。

それでは『良い関係性を維持』するにはどうしたらよいでしょうか。
それは、当社のMVVにもある「相互尊重」だと思います。
PMOだからといって高圧的に出てはいけませんし、逆に謙遜しすぎてもいけません。
私が普段現場と接する上で肝に銘じているPMやPLにお願いするときのポイントや考え方の実例を以下に挙げました。

その1『 PLとのやりとり

  • (もう1ヵ月連続でできていませんよ!などと)必要以上に責めない。事実とやってもらいたいことだけ指摘する。
  • 指摘するだけでなくわからないようであれば背景や目的なども教える。OBPMの数値面で不明点があれば一緒に調査する。
  • プロジェクト管理が苦手だったり多大な時間を要しているようであれば入力を手伝ったりサポートする。(直接のサポートではなく勉強会を開く、動画を紹介するなどでも)
  • OBPMのメンテナンスは必ずPLがしなくてはいけないというものではない。
    入力された内容について把握していれば、OBPMのメンテナンスはPL以外の誰がやってもいい。
    真面目なPLは全て自分でメンテナンスしなくてはいけないと抱え込むが、大規模プロジェクトは何でも一人でやるのは無理。
    大事なことは「誰がやるか」よりも、誰がどんな役割を担ったとしても「正常にPJを推進していく。
    その状態に保つ役割がPMでありPLである」ということを認識してもらう。
  • 経験年数の長短に関わらず、最前線に立っていることに敬意を払う。

その2『PMとのやり取り』

  • PJの責任はPLではなく、PMが負っているということを認識した上で、PLへのサポート・アドバイスを行ってもらうようにする。
  • PLがやらない(できない)のであれば、それを報告・相談しPMにサポートやフォローをしてもらう
  • PLと同様、最前線に立っていることに敬意を払う。

その3『管理職(PMも含む)とのやりとり』

  • 些末なチェックや依頼事項などについてCCに入れたりしない(膨大な量のメールを送りつけることになる)。
    ここは知っていてほしいというところを絞り込む。
  • エスカレーションはためらわない。管理職、PMは当然知っているだろうと思っても、自分が懸念を抱いているプロジェクトについては遠慮せずに報告する。
    (遠慮して黙っていたことで状況が悪化するPJもある。)
    但し、管理職は忙しいので報告は定例報告時にまとめるなど、簡潔に行う。
  • 部長以上へのエスカレーションはよほどの緊急時でない限り自分で行わず、まずは課長クラスから行ってもらうように依頼する。
    (PMOが把握していない内部事情や、管理職内での共有事項を踏まえて課長職がエスカレーション判断を行っているときもある。毎回飛び越えると課長クラスとの関係性が悪化する可能性がある)

その4『PMOたる自分の心構えとして』

  • どんなに正論であっても、言い方次第で人は動いてくれない時もある。
  • 言いにくいことであればあるほど、対面で伝える。(文章ではこじれるばかり)
  • 依頼事項に対して対応した旨の報告があれば必ず謝意を伝える(スルー厳禁)。
    特に文書やリモートで依頼した事項については、次に顔を合わせた際に、挨拶に代えて謝意を伝える。
  • プロジェクト管理が苦手なPLであっても、それ以外に特筆すべきスキルがあるからPLなのであり軽く見たり下に見たりしてはいけない。
    (そのような意識は相手に伝わる)
  • 自分が貢献していると思ってもPMOは裏方であり、PM・PLが前線で交渉事をこなしプロジェクトを推進しているということを常に意識する。
  • 自分だけがプロジェクト管理のノウハウをたくさん持っていると奢ることなく、相対する人に敬意を払い、謙虚な態度で臨む。

さいごに

いかがでしょうか。特別高度な内容は無いと思います。
ですが皆さまご存じのとおり常に実践するとなると難しいことでもあります。
自分がそうであるように、誰しも忙しいときには余裕がなくイライラしがちです。
対応をお願いするタイミングについても、緊急ですぐに伝えないといけない場合を除けば、相手の立場に立って一呼吸置くことも重要です。
そのように相手のためを思ってすることは相手に伝わります。できていないことについて「指摘」をしなくてはならないことは決して楽しい役目ではありませんが、第三者視点でそれを行うのは必要かつ重要な役割です。
重要な役割を担っていることに自信をもってPMO業務に当たっていただきたいと思います。


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