人選も完了し、いよいよ今期からスタート!となったときにまず何が必要でしょうか?

まずオススメするのは、いきなり立派なルールや運用を作ることではなく、「現状を把握する」ことです。ではどのように現状を把握すれば良いでしょうか。

A.まずは社内のプロジェクト管理に関するルールがあるか

B.現場がどのようにプロジェクト管理を行っているか

の二つの観点から調査を開始します。

Aに関しては、自分で分からない場合、品質管理部門、現場の部門長などおよび、社歴の長い社員などに、暗黙知となっているルールがないか確認してみましょう。形骸化してしまっているが一度整えたルール、などでも良いと思います。とにかく、全社、部門レベルなど大きな枠組みで存在するルールがないかを調査します。

Bに関しては、主要な管理職(課長職相当)・PM・PLの方などに、現状をヒアリングすると良いでしょう。Microsoft FormsやGoogle Formsなどのアンケートフォームを利用して効率的に集めましょう。また、アンケートの中に気になる記載があれば直接話を聞きに行くことも必要です。

下記は質問例です

  • どのようにスケジュール管理、タスク管理を行っているか(ツール名含む)
  • どのようにコスト管理を行っているか(ツール名含む)
  • どのように品質管理を行っているか(ツール名含む)
  • どのように上長や顧客への進捗報告を行っているか
  • 報告において上司からどのような観点を求められているか
  • プロジェクトの管理を行う際に困っていることはあるか
  • プロジェクト管理に関する全社(部門)ルールを知っているか

アンケートを取り終わると、「(ルールがあったとしても)ルールの存在すら知らない」「ルールがあることを知っていても中身は知らない」「何を言っているか理解できない」「我流のExcel管理でPL以外は情報がわからない」などの問題点が出てくると思います。

実態が見えたところで、PMO組織(本紹介の例では、部門長+1名専任の想定)+部門の管理職にて、プロジェクトの見える化に何が必要か話し合いましょう。部門の管理職(課長相当)に参画してもらうのは、「自分事としてプロジェクトの見える化に参画してもらうため」です。PMO組織でのみ「このようなツールを使って、このようなルールでやってください」と決めても”絵に描いた餅”になってしまう可能性が高いでしょう。現場にルールを守ってもらうには、中間管理職の協力や理解が不可欠です。また、「プロジェクトを把握するのはあなた方(=中間管理職)の仕事である」ということも併せて理解してもらい、自分たちが把握するためにも見える化は必須であるということを理解していただくチャンスでもあります。もちろん現場の方々全員の意見を聞いていては中々前に進めないことも出てくると思いますので、ある程度のツールの提案やルールのドラフトの準備は必要です。ここでは、「OBPMをプロジェクト管理ツールとして必須で利用する」という前提でお話を進めてまいります。

 「OBPM」をプロジェクト管理ツールとして見える化を実施していくことになりました。さて、誰に対しての見える化でしょうか。
主に挙げられるのは下記のパターンかと思います。

  • メンバーからPLへ(またはその逆)
  • PLからPMへ
  • PL・PMから上司へ
  • PL・PMから顧客へ
  • 上司から経営層へ

これまではPLがメインで作成したExcelを共有できる場所に置き・・・という運用を行っていたかもしれません。その場合、PL本人は把握できていても、その他の階層への報告やすべてのプロジェクトでの同じ粒度での報告や共有は難しいと思います。また、全体の進捗率など俯瞰的な数値をとろうとすると自分で集計しなくてはならず、忙しいPLが時間を取れなければ後回しにされ、プロジェクト全体の状況が悪化してきていても状況をキャッチするのは難しいという経験をされた方は多いのではないでしょうか。

こちらに挙げたのは一例ですが、少し挙げただけでも様々な階層の方からの発信で、現場から経営層まで情報を共有できることがわかります。これこそがプロジェクト管理ツールの最大のメリットです。

ただし、登録の仕方にルールが無ければ、せっかく導入したプロジェクト管理ツールも持ち腐れです。これらの情報をわかりやすく共有するためにルールが必要となります。少なくとも部門単位でのルールの制定が必要ですので、これらの情報を「誰が」「いつ(どのくらいの間隔で)」「登録する」「確認する」「チェックする」「指摘する」のか、など5W1Hを意識してルールを制定、運用してみましょう。PMO担当者は、ルール決定、周知、その後の運用チェックなどを担うことになります。


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