日々のプロジェクト管理業務お疲れ様です。
みなさまは普段、プロジェクト計画を立てる際、WBSを意識してますか。
NO!意識していない!という方もいるかと思いますが、PMBOKによるとプロジェクト計画においてWBSの作成作業が一つのポイントになるとも言われています。

今回はその内容について考察していきたいと思います。

1.WBSについて
まずWBSは何?といったところです。
WBSは作業分解構成図(Work Breakdown Structure)の略称で、「期限内に目的を達成」するために作業工程を細かなタスクに分解し、構造化することで作業管理する手法を指しています。

上記に記載の内容はあくまで定義です。本来はどんなことを目的とするのか、また何が実現できるのかといったところが気になる部分かと思います。
そこで、WBSを作成する目的について次述に考察していきます。

2.WBS作成する目的
WBSを作成する目的としては、以下の6つです。
ひとつずつ考察していきましょう!

①.やるべきタスクが明確になる
作業タスクとして表現することで、何をやるべきかが一目でわかるようになります。プロジェクトにおいての成果物が明確になるとタスク漏れを防ぐことにもつながります。

②.タスクごとのスケジュールの構築が綿密になる
WBSとして分解した作業タスクが表現されていた場合、「この作業はここからここまで」というよう、にスケジュール構築を細かく表現することができます。これが分解されずに一つの作業タスクとして管理していた場合、スケジュールの構築はアバウトな感じに表現されることが想像できます。
また一般的に、作業タスクの期間が2週間を超えるものは、スケジュール管理がしにくくなると言われています。そのため作業タスクの分解作業はスケジュール構築とも密接に関係しています。

③.タスクごとの役割分担が明確になる
作業タスクを分解することで、それぞれの分解した作業タスクに対して担当者を割り当てることができます。分解していない大きな固まりの作業タスクのままでは、誰がどの部分を担当するのかが見えてこなくなります。

④.タスクごとの工数見積りがしやすくなる
分解してある作業タスクごとに、「この作業にはこれくらいの工数が掛かる」「この作業単体だけでもこんなに工数が掛かる」という概算での見積計算がラクにできるようになります。

⑤.タスクごとの進捗管理がしやすくなる
ここが大きなポイントです!分解した作業タスクごとに進捗管理することができるので、より細かなタスクごとの進捗管理が可能になります。

⑥.タスクのスコープが明確になる
どの作業タスクを実施するのか、それはどの範囲までの作業なのかが明確になり、プロジェクト管理がしやすくなります。

※WBS内の担当者、工数のイメージ

3.プロジェクト計画においてWBSがカギとなる理由!
前述まで、WBSを作成する目的について考察してきましたがいかがだったでしょうか。少しはプロジェクト計画時にWBSを作成することが大切だ!ということがイメージ着きましたでしょうか。
では、本題である「プロジェクト計画においてWBSがカギ」となるのはなぜなのかを考察していきたいと思います。

【プロジェクト進行時は、計画時に立てたWBS上のタスクを消化しようとする習慣があるため】
プロジェクトにアサインされたメンバーの普段の行動を思い浮かべてみてください!
プロジェクトメンバーはWBSに表現された作業タスクを中心に進捗管理、作業管理をするかと思います。つまりは計画時に立てたWBSのままプロジェクトが進行することが多いということです!!

【プロジェクト憲章において表現されている内容を消化することができる】
PMBOKのガイドラインとして表現されている「プロジェクト憲章」ですが、これを表現するにはWBSの作成が非常に重要になります。
※プロジェクト憲章・・・プロジェクトを立ち上げる際に策定される、プロジェクトの目的や条件、内容などを明確に定義した文書
プロジェクト憲章は以下のような内容を指しますが、「スコープ、マネジメント、スケジュール」など定義すべき内容がズラーッと並んでいます。

これらを表現するには、前述「2.WBS作成する目的」で述べたWBSを作成することで実現できるようになるかと思います。完全に実現できなくとも、より近い表現ができるようになるのではないかと思います。

【リソースやコストの予定値を、より正確な値で表現するため】

リソースやコストが作業タスクベースで表現されていなければ、正確な値を表現することは難しくなるかと思います。まれにある話ですが、WBSを作成せずに「だいたいこのくらい工数が掛かるでしょ!」「だいたいこれくらいの金額でしょ!」と過去の実績をもとに大体の感覚で予定値を算出するということを耳にします。しかしながら、それは過去の実績をもとにしているだけのアバウトな値に過ぎず、実際に工数やコストが発生した際に、「あれっ!この作業分のコストを見積もっていなかった」「見積の段階で今回のプロジェクトから増えたこのタスク分のコストを追加していなかった」という事態が陥る可能性があります。
作業タスクごとにリソースやコストを管理しておけば、そのタスク内でのコストの積み上げでプロジェクト全体の予定値を管理することができかつ漏れを防ぐことにもつながるので、より正確な値を表現できるかと思います。

4.まとめ
プロジェクト計画時に、WBSを作成することは義務ではありません。
しかしながら「WBSを作成すること=プロジェクト計画を実施・表現すること」に繋がるのではないかと考えることができます。プロジェクト計画時には、ぜひこの記事を参考に頂けたらと思います。